某月某日
[click to full size photograph] 前回の今日の一言では、「いろんな人が、いろんなブラウザで見られるページをつくってはいかがか」ということを書いた。じゃあ、具体的にはどうやるのだ、というのが今回の話。
とりあえず、簡単に自分のページのアクセシビリティーを測るには、出来合いの文法チェッカを使うのが良いだろう。例えば、Another HTML-lint を使えば、自分のページが、どの程度 W3C, WAI その他の勧告に準拠しているのかが分かる。
実は、最初に羊ページを採点させてみたら、エラーが 200ヶ所・得点 -300点と、惨憺たる結果。[ HTML 洗って出直してこい!」ぐらいの勢いだ。抱いた感想は、「こんな机上の空論みたいな、アホ規格に準拠させたって仕方ないだろ。ブラウザ上では、今のコードでちゃんと見えてるのに、なんでこんなに点が悪いんだボケェ!」
でも、冷静に考えてみれば、当のブラウザは「机上の空論みたいな、アホ規格」の方に準拠しているのであって、間違っても僕に準拠しているわけではない。僕が適当に書き上げたコードがきちんと表示されているのは、むしろ、たまたまという割合が高いのである。で、山ほどあるエラーを、一つ一つ潰していくと、確かに綺麗なコードになるし、互換性も(いくつかの例外を除けば)落ちない。前述の Another HTML-lint を運営する石野さんが FAQ で書かれている「文法よりも、内容が大事なことは明々白々ですが、文法を正したからといって、内容が損なわれることはありません。*1」というのは、まさしくその通りだと思う。
ということで、最近、徐々に羊ページを書き直し中だ。羊ページは、フレームのタグも無い頃からつくってきたので、未だあちこちに(文字通り)前世紀の遺物と言うべきコードが残っている。今となっては誰も使っていない Netscape Navigator 1.0 用のコードとか。
さて、文法のチェックというのは、あくまで HTML の話で、サイトのデザインとなると、これは何かで自動的に判断するというのは難しい。むしろ、余計なお世話と言っても良い。文字のポイント数の固定程度のことは、ちゃんと文法チェッカがひっかけてくれるので良いのだが、サイトの構造とか、配色とか、そういう部分はやはり個人の主観が大きいし、むしろそこは各自が「勝手にやる」べきだろう。それに、サイトというのは、割と最初の頃はいろいろ豪華絢爛にやってみたりもするものの、やがて枯れてきたりもする生き物なので、一概に「こうあるべき」なんて事は言いようがない。
ただ、絶えず自分なりに改良していくことで、なんとなく自分のスタイルにあった、なおかつ、訪問者のことにも気を配ったものが、作れるようになってくる気はする。最近ではホームページのトップに「ようこそ」と書くのはなんとなく恥ずかしい感じではあるのだが、そういう「もてなす感覚」みたいなものが、今はむしろ必要なんじゃないかと思う。
最後に、右上の写真は、サイパンの日本人向けラーメン屋。いくら「もてなし」と言っても、ここまでユーザーフレンドリーだとかえって嫌だろ、という例。立っている男は紛れ込んで写った現地ガイドで、作者ではない。なんとなく載せた写真なので、特に意味は無い。「やしがに」が入荷しているらしい。
Photo: 1998. Saipan, CONTAX T2 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/38, Fuji-Film(リメイク再掲載)
*1:引用 [Another HTML-lint] - [FAQ], 石野 恵一郎, Jun 06 1999
注1:机上の空論みたいな、アホ規格:真に受けないように。
注2:「コード」というほどのモノか、という気もするが、「タグ」でもないよなぁと思う。
注3:チェックとか一切してないのですが、トップに「ようこそ」って書いている方、ごめんなさい。
注4:もて‐な・す【持て成す】#3 歓待する。ご馳走する。平家物語11「御前へ召されまゐらせて、御引出物をたまはつて―・され給ひしありさま」。「心づくしの料理で―・す」[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]
某月某日
Web は、表現の道具であって、表現そのものではない。だから、まずは誰にでも見やすい Web であるべきだ。最近、使用するブラウザをちょっとマイナーな Opera に変えてみて、改めて、そんなことを考えた。(このページも、Opera 用にちょっと直すはめになったのです)
僕がこのページのデザインを決めるときに、まず念頭に置くのは、手があまり自由に動かない友達のこと。要求されるクリック数・カーソル移動量は極力少なく、リンクの場所は明確に。操作すべき場所は左側に集めて、、。そんな配慮と工夫は、もちろん手が自由に動く人にとっても快適なはず。
あるいは、字の大きさ。Web の情報の基本は文字、人によって快適に感じる大きさも、使用フォントも、アンチエリアシングの有無も、まるで違う。だから、羊ページでは、フォントに関しては、一切、絶対値による指定を行っていない。大きさや行間などは、全て、相対値で指定し、使用フォントもユーザーの設定が適用される。ただし、この場合、どんなユーザー設定の状態に於いても、デザインやレイアウトを維持できるように注意する必要がある。
Web というのは、建築に似ている。デザインは、機能性と表裏一体であり、美しい Web デザインは、美しい機能性と密接に関係している。建築にはアクセシビリティーという概念があるが、これは Web にもそのまま当てはまる話である。幸いにして、個人が行う程度の Web サイトの構築は、現実の建築に比べれば遙かに少ないコストで、いろいろなことができる。手間さえ惜しまなければ、様々なブラウザでの閲覧をサポートさせたり、多様なユーザー設定に対しても見た目の美しさを保つようなコーディングをすることができる。
まずはその手間をかけてから、自分なりの表現をしてはどうだろうか。ロッククライマーしか入れないような建築にしてしまうのか、あるいは、いろいろな人が、自分なりのアプローチでくつろげる建築にするのか。それは、ひとえに管理者の手腕にかかっている。
注1:羊ページは、Lynx から Opera に至るまで、多種のプラットフォーム上の多種のブラウザから閲覧されることを前提としているが、限界もある。特に手元の環境では、Mac からの閲覧をチェックできないので、もしおかしかったら教えてください。
注2:「ユーザー CSS で強制的に設定すればフォントは好きに変えられる」という意見もあるかもしれない。しかし、実際には、文字を拡大してもちゃんと見られるように最初からつくっておかないと、レイアウトが崩れて閲覧は難しい場合が多いと思う。
注3:羊ページでは、読みやすいという理由から、文字の大きさに対する相対値で行間指定をしている。ところが、「行間が空いていると読みにくい」という人も居たりするので、やっぱり難しい。今のデザインは、2年以上かけて改良してきたものだが、それでもまだ問題は残っている。
注4:「(一部のブラウザで)ウインドウ幅が狭いときに、写真と文字が重なってしまうのは回避できないのか」とのご指摘があります。散々、試行錯誤しているのですが、現状、回避策は見つかっていません。申し訳ないです。
注5:マルチプラットフォームサポートには、技術力と知識が必要な場合もあり、閲覧対象環境が狭いからと言って、一概に非難できるものではないと思っている。実際、W3C 勧告に従ったから良いというわけでもなく(ブラウザ毎の実装状況があまりにも違う)、実地にテストしないといけないので、とにかく難しいし疲れる。
注6:本稿は、特定のサイトについて非難しているものではありません。また、サイトのデザインポリシーに関して、何ら意見を押しつけるものではありません。
某月某日
[click to full size photograph]
「感性がすり減るのが恐い。自分が、何も感じなくなっていくことが恐い、、。」その日、僕はいくらか酔っていて、安居酒屋のラミネートされたメニューを眺めながら、そんなことを言っていた。
このページに、何度も書いていることだけれど、人は慣れる。どんな辛いことも、どんな楽しいことも、どんな新しいことも、やがて慣れる。仕事も、生活も、だんだん慣れてくる。いろんな事は殻に覆われて、辛くもなく、楽しくもなく、なんでもなくなってしまう。
あるいは、人には、何かが出来る季節、みたいなものがある。少し前まで、そういう季節が失われるなんてことは、想像することもできなかった。でも今は、自分にひらめきみたいなものが失われ、日常に埋没して、なんとなく生きていってしまうのが、恐い。
信号機が、パッと赤に変わるように。あるいは蛇口から最後の一滴が落ちてしまうように。ある日、全ては、手の届かない記憶になってしまうんじゃないか。
いろんな痛い思いをするのは嫌だけど、何も感じないのは、もっと嫌だ。僕には変わりたい部分もたくさんあるけれど、変わりたくない部分もある。時間が、無情にそれを奪ってしまうことが恐い。
昔は、大人になるまでの年月を数えていたけれど、今は、残された人生の年月を数えている。そんな転換があって、こんなことを考えるのかもしれない。
いずれにしても、その居酒屋で蛸山葵をつつきながら口をついて出た不安は、未だに僕をとらえている。あるいは、その不安すら、失う日が来るのかもしれないのだが。
Photo: 2001. Tokyo, Japan, CONTAX T3 Carl Zeiss T* Sonnar 2.8/35, Knodak Ektachrome DYNA 200, Dimage Scan Elite(Digital ICE)
注1:ラミネート【laminate】合板にすること。また、プラスチック‐フィルム・アルミ箔・紙などを重ねて貼り合せること。「―‐チューブ」[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]
某月某日
[click to full size photograph] 午前 3時、仕事は終わった。帰るのはあきらめた。
この時間から、美味しい酒を出す店は少ない。ということで、馴染みのアイリッシュパブへ。店に着くと、週末と言うこともあって、なかなか盛況。いつものメンバーで樽テーブルに陣取り、まずはギネスを 1パイント。この店のギネスはウマイ。心地よい甘さと、冷たいのどごし。飲み終わっても、グラスには綺麗な泡が残っているのが良い。
ここ暫くアイルランドをふらふらしてきたらしい店主、そういえば最近顔を見なかった。それでも、留守の間に僕らが来ていたことはちゃんと把握している。なんでも、「注文したもので、いらっしゃった事が分かりました」だそうだ。多分、伝票の記録か何かだろう、それが注文主を雄弁に語るらしい。
しかし、それって注文がワンパターンってこと?偏食ってこと?それとも、スタイル?まあ、いいか。
じゃあ、2杯目はいつものようにストロングボウで。(←ワンパターン)
Photo: 2002. Tokyo, Japan, Canon Power Shot G1 2.0-2.5/7-21(34-102), JPEG.
注1:ストロングボウ - 林檎の発泡酒。キリッとした飲み口だが、気が付くと足に来ている危ない飲み物。
注2:お酒は 20歳を過ぎてから。
某月某日
[click to full size photograph] 羊ページ管理者は、JAS が好き。プライベートの旅行から、出張まで、基本的に JAS を選ぶ。
JAS、国内線第3位。なんとなく、乗ってあげないとなぁ、と思ってしまうポジショニング。
羽田の搭乗カウンターははじっこで、飛行機が着くゲートは限りなく遠く、バスに詰め込まれることさえある。機内サービスのお茶は何故かジャワティーで、フライトアテンダントはなんとなく疲れているように見える。まかりまちがってエアバス 300 に乗せられようものなら、排気ガス臭かったりもする。しかし、JAS はいい。
お菓子取り放題だし、液晶のパーソナルテレビが付いているし、プラス1,000円でレインボーシートにアップグレードできる。そして、なにより、基本的に空いている。やっぱり JAS だね。
しかし、今回は ANA に乗ってみた。というか、気が付いたら ANA でチケットが手配されていた。もちろん、エコノミー。久しぶりに ANA だ。
空港でチェックインしようとすると、何故か「二階席」という選択肢がある。これは、JAS では、ちょっと見たことのない感じ。僕は、自動チェックイン機の前で、しばし考えた。もしかして、セクレタリが間違ってビジネスクラスを予約したのだろうか、あるいは、航空会社の粋な計らいだろうか。僕は、二階席のボタンを押した。
いよいよ搭乗。期待に胸を膨らませて、二階席に登ると、、。見慣れたエコノミー席が、二階の狭い空間にごっちゃりと詰め込まれている。そして、僕の隣の席には、一緒に出張する営業が座っていた。彼も又、ビジネスクラスへの期待に胸を膨らませて、二階席を選んだに違いない。そして、斜め向こうには、同じく営業部長が座っている。彼も又、全く同じ期待を抱いて二階席にチェックインしたのだろう。ああ、勘違いビジネスマンに幸あれ。確かに、国際線のアッパーデッキというのは、おしなべてビジネスクラス&ファーストクラスの場所なのだ。しかし、ANA 国内線にそのルールは通用しないらしい。
恐るべし、ANA。
Photo: 2002. the altitude of 10000 meters, Japan, Canon Power Shot G1 2.0-2.5/7-21(34-102), JPEG.
注1:騙されたビジネスクラスから外を見る。
注2:エコノミー‐クラス【economy class】航空運賃などの低廉な等級。[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]
某月某日
Web ブラウザを Opera 6.01 日本語版に変えた。
Web ブラウザ?いまさら?という気は確かにするのだが、この Opera は久々に面白いブラウザ。面白いので、ここ数日間ずーっと使っていて、気が付いたら、Web で正規ユーザーライセンスを買っていた。別に金を払わなくても使えるのだが、フリー版はウインドウの右上に広告が出てしまう。気にしなければそれで済むのだが、なんかこう、スッキリしない、気になる。キャンペーン中につき、今ならライセンス料が 1,000円引き?なるほど、、。あー、簡単に買えるなぁ、、。おー広告が無いだけで、格段にスッキリしたぞ。いや、快適だなぁ。(別に読者の方に買わせたいわけじゃないです)
さて、Opera はなんと、Internet Explorer、Netscape Communicator に次いで、世界シェア No.3 のブラウザ。とは言っても、上位の 2つで寡占状態なので、そのシェアは 0.67% だ。つまり、ほとんど無いって事。日本語がまともに使えず、最近まで国内ではマイナーな存在だったが、日本語版の登場で状況も変わると思う。なにより、出来が非常に良い。
僕にとって、フリーソフトの精神とか、Microsoft の独占は業界の健全な、、とか、そういう話はどうでもいい。問題は、レンダリングエンジンが、どれだけ綺麗で安定しているかだ。今のところ、IEのレンダリングエンジンは、数あるブラウザの中で、最も安定しているし、最も美しい表示をする。そのインターフェイスも含め、万人向けのWebブラウザとしての完成度とバランスは、とても良い。
それでも、万人がいるところ、万人じゃない人がいる。そういうひねくれ者のために、何か良いブラウザは無いか。なんか、IE も飽きてきたし、、。
ポイントは、Opera のレンダリングというのは、IE に次ぐ綺麗さで、実用レベルに達してるということ。Opera を意識していない(大半の)サイトを、問題なく表示できる。
Opera のレンダリングエンジンは、IE に比べれば安定度に欠け、一部サポートされない機能があり、構文解析もちょっと弱いが、とにかく圧倒的に速い。速さがウリだったはずの Gecko を使った Mozilla よりも速い。そればかりか Opera は、ひねくれ者のインターネットヘビーユーザーが喜ぶ、様々な機能を持っている。特に気に入ってしまったのがマウスジェスチャー機能。
普段、Web で最も使う機能は、「進む」「戻る」「リロード」である。今までは、画面上のボタンを押したり、せいぜい、ショートカットキーを組み合わせたりして操作してきた。マウスジェスチャーとは、これを、マウスだけでやってしまう機能だ。具体的には、右ボタンを押しながら←にマウスを少し動かすと「戻る」、→にマウスを動かすと「進む」、↓↑に動かすと「リロード」となる。僕の場合は、トラックポイントを使っているから、ほとんど手を動かさずに、Web ブラウジングが可能になる。
これは、ホイールマウス以来のエポックメイキングなアイディア。マウスジェスチャーに慣れてしまうと、時々他のソフトに向かって、意味のないジェスチャーを送っている自分に気が付く。実際、マウスジェスチャーと高速レンダリングを駆使して、矢のように Web を巡っていると(巡る必要があるのか?というのは別の問題)、もう他のブラウザを使う気がしなくなる。
他にも、超速いブックマーク編集とか、フォントの指定が細かく出来るので無敵とか、ポップアップウインドウを開かせない設定が便利とか、日ごろ「こう出来たらいいのに、、」という機能が実装されていて気分がよい。デザインは端正なあっさり系だが、スキン対応だからいくらでも悪趣味にできる。やたら設定が細かかったり、まだ Beta なので時々動きが怪しかったりして、万人に勧められるものではないけれど、とにかく久しぶりに面白いブラウザなのだ。
注1:Opera 6.01 beta 日本語版は、残念ながら いまのところ Windows 版のみ公開中です。
注2:ちなみに、羊ページは Internet Explorer 6.0.2600.0000 jp (Win32), Netscape 6.2.1 jp (Win32),Netscape Communicator 4.78 jp (Win32), Netscape Navigator 3.03 jp (Win32), Mozilla 0.9.7 en (Win32), Opera 6.01beta jp Build 1039 (Win32) の 6種類のブラウザで表示を確認していますので、たいていの環境で閲覧できると思います。
注3:ばん‐にん【万人】多くの人。すべての人。ばんじん。[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]
某月某日
[click to full size photograph] 朝、ネーブルを食べていたら、なんとなく春だなぁ、という気になった。なんでだろう。
独特の甘い匂いが、何かの記憶と結びついているのだ。調べてみると、ネーブルは、1月に出始め、4月ぐらいまで食べられる、冬から春にかけての果物。
受験、卒業、新しい学校、新しいクラス。そういえばそんな時期、朝食代わりに食べていた。薄皮をむこうとか、そういうチマチマした事を考えないで、丸ごと食えるのが忙しい朝にはピッタリだった。
新しい年になってからの数ヶ月というのは、ちょっと落ち着かなくて、不安と期待のまじった季節だった。そして、直ぐに、春が来るのだ。ネーブルのちょっと苦くて甘い味は、そんなことを思い出させる。
いろんな事が、なんとなくうまくいきそうな。あと少しすれば、そんな風に思える新しい季節。
日の光は、少しずつ暖かくなっている。
2000. Tamagawa, Japan, Nikon F100, 35-105mm F3.5-4.5D(IF), Kodak
注1:土手の花です。虫食いで綺麗じゃないけど、美しいと思います。レンゲは、春から初夏にかけての花らしい。