羊ページでは、デジタルカメラもいち早く使い始めたが、今でも銀塩フィルムを使った写真も多く扱っている。特に、この1年は、改めてフィルムカメラは面白いなと思っている。とはいえ、デジタルカメラ全盛の時代、個人がフィルムをスキャンする時にあまり参考になる情報もなさそうなので、ここにメモとして書いておく。
ここでは、紙焼きしたものをスキャンするのではなく、フィルムから直接スキャンする方法について取り上げる。今回はフィルムスキャナとフィルム、その他の必要な機器の選択について書いていく。
■フィルムスキャナ
フィルムのスキャンを行う上で、必須の周辺機器だ。フィルムスキャナの現行機種は少なく、選択肢はあまりないが、専用機種を中古品で入手することも可能と思われれる。例えば、NikonのSuper CoolScanシリーズは、オークションによってはプレミアが付いてしまっているようだが、使い勝手、画質共に専用機だけあって優れている。
フィルムスキャナを通した写真は、もちろん元のスキャン以上の品質にはならないので、予算の許す限り良いものを選びたい。後で画質に不満を持って、スキャンし直すのは、相当に根性が必要だ。通常、PC周辺機器のカタログスペックというのは、たいして意味が無いように思えるが、フィルムスキャナについてはカタログ値を十分に吟味した方が良い。特に、スキャン速度(一コマあたりのスキャン時間と、一度にスキャンできるコマ数)は非常に重要だ。
スキャン速度は、例えば一コマ30秒も60秒も変わらないように思えるが、実際の作業時間は、xコマ数になるので、一コマあたりの時間の違いは、トータルのスキャン時間の大きな差として出てくる。極論すればそれが12時間か、24時間かの差になるのだから、少しでも高速なものを選びたい。
解像度についても、グレインノイズがきちんと識別できるレベルまでスキャンできる必要がある。(でなければ、わざわざフィルムスキャナを使う意味も無いのでは無いかと思う)かなり安いフィルムスキャナも出回っているようだが、あまり価格に拘らずに、十分な解像度を持つものを選びたい。なお、僕が使用している、NikonのSuper CoolScan 5000 EDは最大解像度4,000dpi/16bitで、きちんと粒状感を識別可能なレベルの出力が可能だ。
また、細かい点になるがスキャン用の光源がLEDかどうかもチェックしておいた方が良い。LEDは電源ONして即安定したスキャンが行え、球切れの心配も少ない。蛍光管の場合、電源を入れてから光源が安定するまでのウォームアップ時間が必要な点や耐久性の点でLEDに劣ると思われる。
インターフェイスは、簡便性を考えると、SCSI接続ではなくUSB2.0または、IEEE1394接続のものの方が便利だ。今さらSCSIはよもや無いとは思うが、中古狙いの人のために念のために言っておく。また、現行機種として入手可能なフラットベッド式のフィルムスキャナのレビューについては、次の記事が参考になると思う。“ハイエンドスキャナー2機種のフィルムスキャン性能を試す”
なお、スキャナに付属してくるユーティリティーを気にする方も居ると思う。旧機種の場合は最新のOSに対応していない場合も多く、旧機種を利用する際に尻込みするかもしれない。これについては後述するが、実際にはメーカー製のツールでは無くて、シェアウェアのVueScanを使う事になると思うので、これが対応しているスキャナであれば問題ないと言ってしまって良いと思う。
■フィルム
フィルムスキャンを前提にして撮影する場合、元になるフィルムの選択や現像仕上げの仕方をあらかじめ考慮しておく必要がある。
言うまでも無いが、自分が持っているスキャナがサポートするフィルムを選ぶ事が必須になる。通常、オプションなどを使わずに標準でサポートされるサイズは35mm(いわゆる、普通のカメラで使われているもの)が一般的。120フィルムやAPSは別のアダプタが必要になる事がある。また、トイカメラによく使われる110フィルムは、オプションでもサポートされていない事が大半なので、注意が必要だ。また、安価だったり古いフィルムスキャナでは、ネガフィルムの色合いの再現性があまり良くないものもある。
次に、現像時のフィルムの仕上げ方についても考えておきたい。フィルムスキャナがあれば、当然紙焼きは必要なく、現像のみを指定する事になる。仕上げをスライドマウントにするか、スリーブ仕上げにするかは個人の趣味だが、僕の場合は、価格が安いことと、かさばらないことを重視して、ポジフィルムも含めて全てスリーブで仕上げている。一度デジタルにしてしまえば、その後頻繁に元のフィルムを見返すことは無いだろう。
注意しなくてはいけないのは、フィルムの気に入ったコマをスキャンするのでは無く、全数スキャンする事を考えているのであれば、フィルムスキャナのオートローダが対応している方法でフィルムを持っておく必要があるという点。例えばNikonのCool Scanシリーズの場合、スリーブマウントであれば標準でオートロード可能だが、スライドマウントの場合には、オプション(それも結構高価でかつ、現在は入手困難)が必要になるので注意する。手動でスライドをマウントしてのスキャンは、やってみるとよく分かるが、よほどの忍耐と暇が無いと、無理だ(いや、不可能、と言いたい)。
また、白黒ネガ及び、コダクローム(既に発売・現像共に終了しているが)を使用する場合には、デジタルICE(埃によるノイズを低減する機能)が使用できない。デジタルICEが使用する赤外線が感光剤と反応してしまい、埃の判定ができないためだ。つまり、これらのフィルムを使う場合には、埃によるノイズの除去は簡単にはいかないということになる。これらのフィルムをスキャンする場合には、事前にしっかりブロアーで埃を取り除いておく必要がある。非常に小さな埃でも、スキャンすると驚くほど大きく出てしまうので注意が必要だ。
■その他の準備すべきもの(デジタル系ハードウェア)
その他に準備の必要なモノ達。まずはデジタル関係のハードウェアから。
・ディスク
フィルムスキャナが生み出すデータ量はかなりのものだ。ここを読んでいる人で、マスターデータをJPEGで保存しようという人は居ないだろう。通常、スキャンしたマスターデータは、可逆圧縮もしくは非圧縮での保存となるので(普通はTIFF)、ディスクはどれだけあっても足りない。4,000dpi前後でスキャンすると、16bitで実に50MB/コマ以上のデータになってしまう。これは、フルサイズセンサのデジタル一眼レフを凌駕するデータ量だ。皮肉な事だが、フィルムを本気で使うのであれば、とにかくディスクは沢山用意する必要がある。
・モニタ
本来であれば、カラーキャリブレーションができる環境が必要なのだろうが、アマチュアではそこまで出来ない。最近は安手のモニタが幾らでもあるが、できるだけ色域の広い高価なものが欲しい。僕の場合は、そこまでは拘らない。そこに金を使うならフィルムをもっと買う、とあえて書いておく。(最近白黒ばっかりなので、そもそもあんまり関係ないな、という気はしている)また、そこまでやるのであれば、スキャナ側もきちんとキャリブレーション用のターゲットを用意する必要があるだろうが、ここではそこまでは拘らない。
今回はここまで。次回は非デジタルな必要物品、及び、画像管理とスキャンソフトウェアについて書く予定だ。


