フィルムをスキャンする方法と注意点 その1

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2012年3月5日 月曜日

羊ページでは、デジタルカメラもいち早く使い始めたが、今でも銀塩フィルムを使った写真も多く扱っている。特に、この1年は、改めてフィルムカメラは面白いなと思っている。とはいえ、デジタルカメラ全盛の時代、個人がフィルムをスキャンする時にあまり参考になる情報もなさそうなので、ここにメモとして書いておく。

ここでは、紙焼きしたものをスキャンするのではなく、フィルムから直接スキャンする方法について取り上げる。今回はフィルムスキャナとフィルム、その他の必要な機器の選択について書いていく。


■フィルムスキャナ
フィルムのスキャンを行う上で、必須の周辺機器だ。フィルムスキャナの現行機種は少なく、選択肢はあまりないが、専用機種を中古品で入手することも可能と思われれる。例えば、NikonのSuper CoolScanシリーズは、オークションによってはプレミアが付いてしまっているようだが、使い勝手、画質共に専用機だけあって優れている。

フィルムスキャナを通した写真は、もちろん元のスキャン以上の品質にはならないので、予算の許す限り良いものを選びたい。後で画質に不満を持って、スキャンし直すのは、相当に根性が必要だ。通常、PC周辺機器のカタログスペックというのは、たいして意味が無いように思えるが、フィルムスキャナについてはカタログ値を十分に吟味した方が良い。特に、スキャン速度(一コマあたりのスキャン時間と、一度にスキャンできるコマ数)は非常に重要だ。

スキャン速度は、例えば一コマ30秒も60秒も変わらないように思えるが、実際の作業時間は、xコマ数になるので、一コマあたりの時間の違いは、トータルのスキャン時間の大きな差として出てくる。極論すればそれが12時間か、24時間かの差になるのだから、少しでも高速なものを選びたい。

解像度についても、グレインノイズがきちんと識別できるレベルまでスキャンできる必要がある。(でなければ、わざわざフィルムスキャナを使う意味も無いのでは無いかと思う)かなり安いフィルムスキャナも出回っているようだが、あまり価格に拘らずに、十分な解像度を持つものを選びたい。なお、僕が使用している、NikonのSuper CoolScan 5000 EDは最大解像度4,000dpi/16bitで、きちんと粒状感を識別可能なレベルの出力が可能だ。

また、細かい点になるがスキャン用の光源がLEDかどうかもチェックしておいた方が良い。LEDは電源ONして即安定したスキャンが行え、球切れの心配も少ない。蛍光管の場合、電源を入れてから光源が安定するまでのウォームアップ時間が必要な点や耐久性の点でLEDに劣ると思われる。

インターフェイスは、簡便性を考えると、SCSI接続ではなくUSB2.0または、IEEE1394接続のものの方が便利だ。今さらSCSIはよもや無いとは思うが、中古狙いの人のために念のために言っておく。また、現行機種として入手可能なフラットベッド式のフィルムスキャナのレビューについては、次の記事が参考になると思う。“ハイエンドスキャナー2機種のフィルムスキャン性能を試す”

なお、スキャナに付属してくるユーティリティーを気にする方も居ると思う。旧機種の場合は最新のOSに対応していない場合も多く、旧機種を利用する際に尻込みするかもしれない。これについては後述するが、実際にはメーカー製のツールでは無くて、シェアウェアのVueScanを使う事になると思うので、これが対応しているスキャナであれば問題ないと言ってしまって良いと思う。


■フィルム
フィルムスキャンを前提にして撮影する場合、元になるフィルムの選択や現像仕上げの仕方をあらかじめ考慮しておく必要がある。

言うまでも無いが、自分が持っているスキャナがサポートするフィルムを選ぶ事が必須になる。通常、オプションなどを使わずに標準でサポートされるサイズは35mm(いわゆる、普通のカメラで使われているもの)が一般的。120フィルムやAPSは別のアダプタが必要になる事がある。また、トイカメラによく使われる110フィルムは、オプションでもサポートされていない事が大半なので、注意が必要だ。また、安価だったり古いフィルムスキャナでは、ネガフィルムの色合いの再現性があまり良くないものもある。

次に、現像時のフィルムの仕上げ方についても考えておきたい。フィルムスキャナがあれば、当然紙焼きは必要なく、現像のみを指定する事になる。仕上げをスライドマウントにするか、スリーブ仕上げにするかは個人の趣味だが、僕の場合は、価格が安いことと、かさばらないことを重視して、ポジフィルムも含めて全てスリーブで仕上げている。一度デジタルにしてしまえば、その後頻繁に元のフィルムを見返すことは無いだろう。

注意しなくてはいけないのは、フィルムの気に入ったコマをスキャンするのでは無く、全数スキャンする事を考えているのであれば、フィルムスキャナのオートローダが対応している方法でフィルムを持っておく必要があるという点。例えばNikonのCool Scanシリーズの場合、スリーブマウントであれば標準でオートロード可能だが、スライドマウントの場合には、オプション(それも結構高価でかつ、現在は入手困難)が必要になるので注意する。手動でスライドをマウントしてのスキャンは、やってみるとよく分かるが、よほどの忍耐と暇が無いと、無理だ(いや、不可能、と言いたい)。

また、白黒ネガ及び、コダクローム(既に発売・現像共に終了しているが)を使用する場合には、デジタルICE(埃によるノイズを低減する機能)が使用できない。デジタルICEが使用する赤外線が感光剤と反応してしまい、埃の判定ができないためだ。つまり、これらのフィルムを使う場合には、埃によるノイズの除去は簡単にはいかないということになる。これらのフィルムをスキャンする場合には、事前にしっかりブロアーで埃を取り除いておく必要がある。非常に小さな埃でも、スキャンすると驚くほど大きく出てしまうので注意が必要だ。


■その他の準備すべきもの(デジタル系ハードウェア)
その他に準備の必要なモノ達。まずはデジタル関係のハードウェアから。

・ディスク
フィルムスキャナが生み出すデータ量はかなりのものだ。ここを読んでいる人で、マスターデータをJPEGで保存しようという人は居ないだろう。通常、スキャンしたマスターデータは、可逆圧縮もしくは非圧縮での保存となるので(普通はTIFF)、ディスクはどれだけあっても足りない。4,000dpi前後でスキャンすると、16bitで実に50MB/コマ以上のデータになってしまう。これは、フルサイズセンサのデジタル一眼レフを凌駕するデータ量だ。皮肉な事だが、フィルムを本気で使うのであれば、とにかくディスクは沢山用意する必要がある。

・モニタ
本来であれば、カラーキャリブレーションができる環境が必要なのだろうが、アマチュアではそこまで出来ない。最近は安手のモニタが幾らでもあるが、できるだけ色域の広い高価なものが欲しい。僕の場合は、そこまでは拘らない。そこに金を使うならフィルムをもっと買う、とあえて書いておく。(最近白黒ばっかりなので、そもそもあんまり関係ないな、という気はしている)また、そこまでやるのであれば、スキャナ側もきちんとキャリブレーション用のターゲットを用意する必要があるだろうが、ここではそこまでは拘らない。

今回はここまで。次回は非デジタルな必要物品、及び、画像管理とスキャンソフトウェアについて書く予定だ。



奈良で鹿にTシャツを喰われる

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2012年2月26日 日曜日
Wild buck

Photo: "Wild buck" 2011. Japan, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX.

“No reservation” は、ニューヨークのシェフが、世界各地を食べ歩く番組だ。今回は大阪。酔客に、鉄板の前で尖った鉄ぐしを使わせる、セルフのたこ焼き屋に、ホストのアメリカ人は驚いている。「もし客が怪我でもしたら、ニューヨークじゃ、訴訟ものだ!」ある文化で普通に許容される行為が、他の文化では驚くべき危険な行為に見られる事がある。

であれば、野生の鹿に観光客が食べ物を与える、しかも柵なし。観光客の中には子供も、そればかりか幼児もいる。そんな、奈良の光景は驚きだろう。たいていの牡鹿の角は落とされているが、なかにはそうでないのも居る。


僕も驚いた、犬じゃないんだし。大型犬なんかより、余程大きく、小さい馬並みの脚力がある動物を野生のまま街中に放っておくなど、世界中に例があるだろうか。さらに、そいつらにあげるための食べものを売っているという街が、世界のどこにあるというのだろう。ああ、インドの牛はそうかもしれないが。

鹿煎餅を買った段階から、ヤツらはこちらを見ていたに違いない。何も持っていないときは、プイッと遠くの方で群れているくせに、煎餅を手にしたとたんに、トコトコトコトコ寄ってくる。平日であまり観光客が居ないせいか、鹿煎餅の競争率は高い。煎餅を手にした観光客に、すぐに鹿どもが襲いかかる。手のあたりを、クイッと見つめて、一目散にやってくる。

まずは、前から頭でコンコンつついてくる。かと思えば、後ろからガブーッとTシャツを噛んで、引っ張ってくる。こっちよ、こっちよ、という感じ。煎餅を口のあたりにもっていくと、一種異様な情熱でパリパリ食べる。鹿煎餅って、いったい何が入ってるんだ??


うろうろしている鹿に、煎餅をあげる。これは、意外と、相当面白い事に気がつく。ヤツらは確かに野生で、きままに色んな所に居て、色んな所に移動している。その不確定さが、相当面白い。多勢に無勢で囲まれた時に、結構怖いのもまた、面白い。それでも、日本文化の中で育った「野生動物」らしく、そんなに凶悪には図々しくないのも、また面白い。

意外と素早い動きに、マニュアルフォーカスカメラはなかなか付いていかない。それでも、Tシャツを食われながら撮った表情は、やっぱり意外と、野生動物だね。



「魚片湯」が超一流にまずい

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2012年2月25日 土曜日
Sliced fish soup

Photo: "Sliced fish soup" 2011. Singapore, Zeiss Ikon, Carl Zeiss Biogon T* 2.8/28(ZM), Kodak 400TX.

旅先の醍醐味は、驚くほど不味いものに出会うことである。

フードコートのチキンライスの旨さに気をよくした僕は、ひときは人が並んでいる魚ソバの店を目指した。「魚片湯」と書いてあるので、きっとそんな感じの食べものなんだろう。12時をまわって、近所の会社員達が、昼食を求めて長い行列を作りはじめている。


OLの後ろについて、店の中を覗きながら待つ。並んでいるのは見事に中国系ばかり。周りの会話は、完全に北京語で、まったく分からないし、店の人も北京語で応対だ。(シンガポールは英語も公用語だが、北京語も公用語だ)並んでいる人達のわくわく感、みたいなものが伝わってくる。きっと美味しいんだね、この店は。

僕の前に並んでいたオバチャンは、何人前もの持ち帰りを頼んでいる。簡単なタッパのような容器に並々とソバが入れられる。味付け?の唐辛子醤油のようなものも付いてくる。で、それがちょっと漏れているあたりが、アジア的。僕の前のOLは、一人が常連で、一人が初めて連れてこられたといった感じだ。セルフサービスのやり方に、いささか戸惑っている。


店の中では、会計係のオジサンと、調理係が2人。一人は、白濁したスープを中華鍋に煮立てて、手際よくソバを茹で仕上げる。もう一人は、ひたすら魚のフライを作って積み上げる。ひたすら、ひたすら積み上げる。ビールにも合いそうだ。どう考えても、美味いねこれは。

僕の番になって、もちろん北京語は分からないので、身振りでメニューを選ぶ。ぶっきらぼうに見えるオジサンは、結構親切だった。


たっぷりのスープに、米粉のソバ、魚のフライ、青梗菜。さて、食べてみよう。

まずはスープを。。マズッ!なんか、凄く嫌いな味がする。フライは、、なんか苦い。
致命的に合わない、劣化した脂の気配と、なんかいけない感じのする出汁。これは、まずい。中華圏の下町で出会う、机の脚みたいな例の味だ。全然、口に合わない。なんで人気なのか、まったく分からない。

いや、醍醐味だわ。